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〜〜〜  ビアトリクス・ポターの描いた絵本の舞台を追いかけて(2003年8月) 〜〜〜

4日目(8/22) 湖水地方 素晴らしい景色
  ライノーズ・パス 〜 グラスミア 〜 ケズウィック
  

旅行4日目 快晴 嵐が過ぎると、緑あざやかな素晴らしい景色が待っていた!

  • 朝の散歩 足音を立てずにうさぎをウォッチング

▼朝の散歩

 4日目の朝は、私が部屋のドアを開き廊下に出たら、約束どおり友人もほぼ同時に部屋から出てきた。ではうさぎを見るツアー出発とばかりに、意気込みだけは激しく、動作はできるだけ小さく、静まりかえった廊下をそっと抜け出し、前日うさぎを見かけたニアソーリーのフットパスへと向かう。

 
 (写真)宿泊した屋根裏部屋の窓より撮影したエスウェイト湖
     この写真は、「英国湖水地方の旅」という、このページのタイトル画像に使用したもの

 心配していた天気は、前日の雨がうそのように快晴!明るい太陽の日差しを浴びた木々の緑と台地の緑は、それは色あざやかで、ひとつとして同じ緑はなく、太陽に照らされた緑は黄色味が強く、影になるほど緑が濃く映える。

▼足音立てずにうさぎをウォッチング

  

  

 前日と同じフットパスに続くゲートをくぐり、砂利道を抜き足、差し足、忍び足と、音たてずに進んだ先に、いました、いました、うさぎたち。天気がよいからなのか、めんどりのサリー・ヘニー・ペニー*も散歩していた。友人も、ニアソーリーのうさぎたちの姿を見ることができ、本当なら声をあげて喜びたいところだけど、声をあげるとどうなるかは分かっていたので、興奮度合いを目の見開き具合で伝えてくる。そして、私も「でしょう、でしょう」と、これまた目で合図する。

 *『「ジンジャーとピクルズや」のおはなし』に登場する、めんどりのヘニー・ペニーさん。原文は、Sally Henny Penny。

 前日同様、うさぎたちはフットパスからかなり奥まった場所にいたので、カメラのズーム機能を使用して撮影するも、なんとかうさぎと分かる程度。しかし、それでも雰囲気だけでも伝えたいと動画も撮影。

 2001年に英国旅行した際、ミニバスツアーのガイド兼運転手に、「うさぎはどこに行けば見ることができるの?」と質問したところ、「うさぎ?そんなのいたるところで見られるさ」と、手のひらを180度広げ「いたるところ」と強調していたのが印象的だった。

 とはいえ、うさぎの姿を見たいと思ったら、周囲に背の低い草が生えていて、近くに身を隠せるやぶや、林がある場所に出向き、自動車や人間が活動し始める前、朝の早い時間帯でなければ出会えないかも。また、空気が湿っていると巣穴からなかなか出てこない場合がある。なぜなら、湿度により匂いが変化し、外敵の気配に気づくのが遅れるためだからとか。

 うさぎたちの姿を堪能していると、ビデオカメラを片手に日本人観光客がフットパスをやってきた。きっと朝の散歩を楽しむつもりでこられたのだろう。しかし、私達がしゃがんでうさぎたちに夢中になっているのを見て、「をを、うさぎ」と撮影を始めた。ところが、物音に驚いたうさぎたちは、脱兎のごとく。。。

 「芋虫のように腹這いになってウサギが出てくるのを待った。(中略)ウサギは私の姿を感じるとすぐ穴の中へ逃げ込んでしまう」
 「英国=湖水地方 四季物語」 辻丸純一(文・写真) 東京書籍(刊)より
 
 「野原や牧場にあるうさぎ村の近くまでいくと、あとはひたすらほふく前進。彼らは警戒心が強いので、容易には近づけません。」
 「光の谷のピーターラビット」村川荘兵衛 星雲社(発売)・リベラル社(刊)より

 写真家の先生方も、英国のうさぎたちの姿をファインダーにおさめるにはどうすればいいか、その苦労話をそれぞれの書籍で紹介なさっている。辻丸先生は、芋虫と表現され、村川先生はひたすらほふく前進と。地面と一体になり、おさめられたうさぎたちの姿は、緑と茶色、これぞピーターラビットの世界そのものなのだ。

 フレデリィック・ウォーン社が、『ピーターラビットのおはなし』を出版すると決定した時、カラーの挿絵にこだわり、ビアトリクス・ポターにどうしてカラーの挿絵を増やさないのかと質問した際、
 「ウサギを扱った絵の大半が茶色か緑なので、色刷りしてもおもしろくないと思ったから」と答えている。

 1901/9/11付 フレデリィック・ウォーン社宛手紙より 日本語訳:「ビアトリクス・ポター ピーターラビット大自然への愛」 リンダ・リア(著)黒川由美(訳)ランダムハウス講談社(刊)

 うさぎたちのいるところは、緑のなか。そしてうさぎはこげ茶色。これこそがピーターラビットの世界、自然の色なのだ。ここは物語後半の服が脱げたピーターたちが、繰り広げる物語の続きなのかもしれない。そう考えると、私達の興奮ぶり、感動たるや、言葉だけでは伝えきれないものがあり、後からこみあげるものすらあった。

 (私の写真ではその感動の半分も伝え切れませんが、うさぎに魅せられた先生方の写真は、それぞれの書籍でどうぞご覧ください。)

朝の散歩 足音を立てずにうさぎをウォッチング (完)
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旅行4日目 快晴 嵐が過ぎると、緑あざやかな素晴らしい景色が待っていた!

  • ニアソーリーのポストに投函

▼ニアソーリーのポストに投函

 
 (左の挿絵) 『ピーターラビットのアルマナック』より(アルマナックとは、暦のこと。1929年のみ発売。イラストはすべてビアトリクス・ポター書き下ろしのオリジナル作品)

 (写真右) ニアソーリーのポストにポストカードを投函

 朝のまぶしい光を浴びながら、ニアソーリーのポストに前日したためたポストカードを投函。もちろんここで投函したからといって、ニアソーリーの消印になることはないと分かっていても、ピーターになりきって投函したかった。そんな私のうれしそうな顔ったら。「絵物語は、大人を童心に返してくれる」、そんな魔法がかかっているのかもしれない。

▼Breakfast

 朝の散歩を終え、本物の可愛さに圧倒され興奮して戻ってきた私達。宿の玄関を開けると、奥のダイニング・ルームより食器をセッティングする音が聞こえてきた。

  
 (写真)ボイルド・エッグ 日本と違ってエッグカップの上に卵を乗せ、スプーンで卵の殻をコツコツと叩いて殻をむきいただく。

 私の大好きなゆで卵も、エッグカップに乗せていただくとボイルド・エッグという正式名に?

 食事をしながら、その日の予定を話し合う。当初考えていたのは、グラスミア湖に立ち寄ってからケズウィックに向かうコース。それならばと、友人夫妻が前回の湖水地方を旅した際に出かけ、その素晴らしい景色に魅せられたライノーズ・パスに寄る時間は充分にあるということになり、この旅物語にライノーズ・パスも加わることになった。

 その素晴らしい景色とはいかに?!

 
ニアソーリーのポストに投函 (完)
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ラピータの部屋コンテンツ 英国旅行記2003年版 2009.6.12 ラピータ著