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〜〜〜  ビアトリクス・ポターの聖地を巡る旅(2018年6月) 〜〜〜

3日目(6/19) 湖水地方 ボウネス・オン・ウィンダミア〜ニアソーリー〜ホークスヘッド〜コニストン
  


  • ホークスヘッド散策とビアトリクス・ポター・ギャラリーその2(Hawkshead & Beatrix Potter Garey)

▼ホークスヘッドのメインイベント、ビアトリクス・ポター・ギャラリーへ

 ホークスヘッドは、散策も楽しいし、ショッピングも楽しい。またカフェでゆっくりお茶するもの楽しい。でも散策やショッピングに夢中になっていると、ビアトリクス・ポター・ギャラリーは午後4時(受付は15時半)に閉館するので要注意です。

*注意(2024/11/18追記)
ビアトリクス・ポター・ギャラリーは、建物の構造と湿度に問題があり現在は閉鎖されています。今後、ビアトリクス・ポター作品を永久に保管できる場所の捜索は続いていますが、現在は作品の一部がヒルトップ・ハウスにて展示されています。



 ビアトリクス・ポター・ギャラリーの建物は、ビアトリクスの夫ウィリアム・ヒーリスが弁護士事務所として使用していた場所で、1987年にオフィスが空き家となり、ウィリアムの遺書に基づき、建物の所有権がナショナル・トラストとなりました。その翌年の1988年に、博物館&ギャラリーとしてオープンし、彼女の500点を超える原画を展示するスペースとなりました。

 そもそもウィリアムとの出会いは、ビアトリクスがヒルトップ農場を購入した3年後の1908年、土地購入に関して助言してもらうためこの弁護士事務所を訪れたのがきっかけでした。そしてその出会いから5年後の1913年、ウィリアムとビアトリクスは、ロンドンの教会で結婚式を挙げました。

 現在ギャラリーがある建物の受付部分は、前回の英国旅行記ブログで紹介したとおり『パイがふたつあったおはなし』でタビタおくさんの雑貨屋として描かれた場所です。そしてさらにその隣、ギャラリーではない方の建物「ベンドorバンプコテージ(Bend or Bump Cottage)」は、ウィリアムの父と父の兄である叔父さんが、ホークスヘッドに借りた初めての事務所でした。


 ベンドorバンプコテージ(Bend or Bump Cottage)



 ビアトリクス・ポター・ギャラリー 入場料 大人 6.8ポンド

 入場料を支払う際、団体料金の人数条件(8名以上)は満たしていたので、11名で料金1人6ポンドで入場できると思ったら、「団体ではなく、個人料金」ということで受け付けてもらえませんでした。日本から出発間近に、「団体で入場する際は、大概の施設は事前に電話で予約が必要になる」と連絡が入り、ヒルトップ農場は前日に団体予約コードを受け取ったので入場できましたが、まさかほとんどの施設で事前予約が必要だったとは!!

 今回の場合は、個人料金1人6.8ポンドを支払えば、全員一緒に入場するのは問題なかったので、ギャラリーに無事入ることができました。



 受付のカウンターに置かれた天秤ばかりは、『「ジンジャーとピクルズや」のおはなし』の裏表紙の見返しに描かれたのと同じもの。

 受付を通り抜け次の小さなフロアで、別のスタッフによるカメラ撮影に関する注意がありました。作品に近づきすぎないことや、フラッシュ撮影は禁止など。



 1階はウィリアムが弁護士事務所として働いていた場所を再現し、ビアトリクスの写真や手紙を展示しています。展示されている家具は、その当時使用されていたものや、もしくは再現されたものだそうです。


 狭く急な階段を2階へ

▼原画が持つ圧倒的なパワーを感じられるギャラリー

 2階は、天井は低いものの広々としたスペースに、ビアトリクスが描いた絵本の原画が展示されています。2016年のビアトリクス・ポター生誕150周年記念として、日本で大規模原画展が開催されましたが、展示された原画はここからやってきました。この時に展示された200点ほどの作品は、今後4、50年休ませる必要があるという話もあったので、当分見ることはできないかもしれません。

 BS朝日で放送された「ディーン・フジオカ 初のイギリス旅 美しき湖水地方ピーターラビットの世界を訪ねる」で、このギャラリーを訪れたディーンさんが原画をご覧になり、「色の使い方がすごい。その景色がそこにあるみたいに描いている。ファンタジーだけど現実の世界観がそこにある」と感想を述べられていました。

 ここはビアトリクスが絵本に描いたオリジナル作品が常時展示されている唯一の場所で、私達ビアトリクスファンにとってはヒルトップ農場がビアトリクスが愛した景色や、好んだアンティークな品々を見ることができる場所とするならば、彼女が愛した湖水地方の景色を物語の挿絵に描き、キャラクターたちが今に動き出しそうな躍動感あふれる原画が持つ圧倒的なパワーを感じられる場所なのです。

 最初に紹介しましたが、このギャラリーが所蔵するビアトリクスの作品は500点余りで、その内訳は『ピーターラビットのおはなし』、『グロースターの仕たて屋』、『フロプシーのこどもたち』を除く他すべてのおはなしの原画や、彼女の書いた手紙や写真、絵本の挿絵の背景として描いたスケッチ作品も多数あります。



 その中で展示されていたのは、『こぶたのピグリン・ブランドのおはなし』の原画



 『あひるのジマイマのおはなし』の原画



 『ひげのサムエルのおはなし』の原画



 『「ジンジャーとピクルズや」のおはなし』の原画などが展示されていました。

 展示はケースの中に2枚がセットなり、作品の下にキャプションが添えられ、さらに下には訪れたお子さんが書いたのか、手書きのラベルが貼り付けてありました。



 そして最も多くの原画が展示されていたのは、2018年に出版100周年を迎えた『まちねずみジョニーのおはなし』でした。他のおはなしは2点から多くても4点の中、こちらは10点展示されていました。



 『まちねずみジョニーのおはなし』より、田舎で暮らすチミー・ウィリー

 ギャラリー内の室内は暗く、間接照明がケースのガラスに反射し、上手に撮影することができませんが、水彩画作品は光に弱く作品に与えるダメージを最大限減らさなければいけないので、今後100年、200年と保つためには致し方ありません。こうして見られるだけでも幸せ者です。

▼毎年異なる企画展を開催

 ギャラリーは原画の展示だけでなく、毎年異なる企画展を開催しています。こうした企画展を通して、ビアトリクスの偉業について知ることができる場所でもあります。今年はビアトリクスが尽力した地域看護婦協会について紹介されていました。ビアトリクスは地域の看護師、それも家庭や地域の人々の看護を向上させる「クイーンズナース(Queen's Nurse)」が必要と考え、これらを実現するために奔走しました。



 これらの活動の中心となって行動した彼女は、1919年、ホークスヘッド地域看護協会より「クイーンズナース」として初めて訪問看護が実現しました。こちらはクイーンズナースより、ビアトリクスに宛てたポストカードと、クイーンズナースのバッヂと共に、『妖精のキャラバン』より、朝が遅いルイーザがベッドで寝ている挿絵が紹介されていました。訪問看護の紹介だけに、ベッドで寝ている挿絵が相応しい?!



 クイーンズナースは、地域医療サービスと助産術で活躍し、ビアトリクスは資金援助だけでなく、看護を必要としている人の情報、看護師の住居や移動の為の車なども提供していた。こちらは、『「ジンジャーとピクルズや」のおはなし』で、やまねのジョンさんがベッドで寝ている挿絵と一緒にこれらエピソードが紹介されていました。



 ビアトリクスの肖像画とマントルピース。ディスプレイされていたのは、麻のロープで作ったハードウィック種の羊。



 材料が用意されていて、自由に作ってお土産にしても良かったみたいですが、不器用な私には難しそうでした。



 天井が低いのは、2階建ての建物と思われたさらに上に屋根裏部屋があるためです。さらに上に続く階段は立ち入り禁止。



 上がってきた階段とは違う別の階段で1階におりると、そこはこじんまりとしたショップでした。ヒルトップ農場のショップをさらにこじんまりした感じのショップです。

 『まちねずみジョニーのおはなし』出版100周年の記念本が、表紙に描かれたまちねずみジョニーが持つブリーフケース風ボックスにディスプレイされています。野菜が入ったバスケットではありませんが、チミーも眠っています。この表紙に描かれたまちねずみジョニーは、ホークスヘッドに住んでいた、夫ウィリアムの親友パーソン医師がモデルで、二人でよくゴルフをしていたんだとか。なので、もう片方の手にはゴルフバッグが握られているのですね。

 こうして私達は、午前中にヒルトップ農場を見学し、午後からビアトリクス・ポター・ギャラリーも見学することができました。なんて贅沢な一日なんでしょう。ホークスヘッドでたっぷり時間を取っていたのですが、この町に到着した時に老人に声をかけられた通り、段々と雲行きが怪しくなり今にも降りだしそうでした。

 全員揃ったので、次の目的ハウズ湖へ。今回の旅は本当に盛りだくさんで、一日で頑張ればこんなにまわれるということが分かったという旅でもあります。

ホークスヘッド散策とビアトリクス・ポター・ギャラリーその2(完)
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▼湖水地方の最も美しい景色、ハウズ湖

 迷路のように楽しいホークスヘッドをぐるぐるとまわった後、車で30分ほどのところにあるハウズ湖(Tarn Hows)へ。ハウズ湖の駐車場に到着した頃、空一面が厚い雲におおわれ、所々もやに包まれていました。駐車場の周りの木々からは、美しい鳥の鳴き声が聞こえ、辺りをよく見ると、鳥の餌かごがぶら下がり、これらを求めて鳥たちが集まっていました。



 チャフフィンチ(和名:ズアオアトリ)



 ナショナルトラストが所有するハウズ湖。



 ここは、ビアトリクスが1929年に、モンク・コニストン領地と呼ばれる広大な地所(約4000エーカー)を取得した際、その地所にハウズ湖も含まれていました。

 その後、地所の65%をナショナルトラストがビアトリクスより原価で買い取り、残りはナショナルトラストに遺贈されました。この地所は、ハウズ湖以外に、7つの農場、無数のコテージ、多くの採石場、広大な林地、コニストンの町まで続く開けた丘原を含みます。

 ハウズ湖は、ビアトリクスの意志でもある景観をそのままの状態で保存することを頑なに守り続けているため、湖周辺は駐車場があるだけで、多くの観光客が訪れる観光地でありながら、景観を邪魔する建物は何一つありません。あるのは、駐車場にトイレがあるのみです。この景色こそが、湖水地方で最も美しい景色と呼ばれる理由で、晴れていれば最高に美しい景色が撮影できるのは間違いありません。

 「ターン・ハウズ(Tarn Hows)」という名前の由来は、古北欧語の小さな湖(Tarn)という意味と、小山(hows 古北欧語のhaugr)という意味の二つの言葉の組み合わせで、日本語で「ターン・ハウズ湖」と書くと、「湖ハウズ湖」と湖が重なるので、ターン・ハウズか、もしくはハウズ湖となります。

 この湖は、19世紀に3つの小さな湖(Low、Middle、High)をせき止め、ひとつの大きな湖とした人口湖です。周囲にカラマツ林が植林され、他の湖と雰囲気が異なります。この湖の美しさは、湖とカラマツの森と背景の山並みが一体となった景色で、駐車場側にある高台から天気が良ければパーフェクトな景色が見られます。



 私達は残念ながらこのような景色でした。山並みが雲に隠れてしまった分、湖の美しさが際立ちました。松林が美しい日本の兼六園に少しだけ雰囲気が似たところもあります。



 もし時間があれば湖を一周するのも楽しいかもしれません。散策用の遊歩道が完備されていて、1周2.4Kmです。手前の白く見える小径が散策用のコース。

▼映画「ミス・ポター」の舞台となったユーツリー農場へ



 次に向かったのは、ユーツリー農場(Yew Tree Farm)です。ここは、映画「ミス・ポター」(2006年公開)で、ヒルトップ農場として撮影されたロケ地です。日本でも映画公開以降、雑誌等の湖水地方特集で取り上げられ、日本からの観光客も増えているように思います。

 ハウズ湖から車で15分ほどのところにありますが、車がないと行くのに不便な場所です。近くにミニバスが停車できる駐車場はないので、ほんの少し離れた場所から道路沿いを歩いて向かいました。



 映画にヒルトップ農場として登場したコテージ。ポターギャラリーでも紹介したBS朝日で放送された番組で、ディーン・フジオカさんがユーツリー農場にも訪れていました。ディーンさんも気になった存在感のあるコテージは、300年以上の歴史があると紹介されました。

 このコテージはB&Bとして宿泊できます。食事は朝食のみですが、近くに食事できるレストランもあると公式ホームページに記載されていました。



 ユーツリー農場は、1929年ビアトリクスが取得した、ハウズ湖を含むモンク・コニストン領地に含まれる7つの農場のひとつで、コテージの奥に見えるホルム山(Holme Fell)まで700エーカー(東京ドーム60個分)の広大な地所に、ハードウィック種の羊を育てています。

 私達は、ユーツリー農場の観光情報が乏しく、行き当たりばったりでしたが、入口近くにあるコテージと、その向かいに建つコテージより大きな施設「紡績用の部屋(Spinning Gallery)」は、道路沿いから見るだけでなく、地所内に足を踏み入れて、建物外観のみ見学できました。



 紡績用の部屋(Spinning Gallery)。1900年初頭に建てられたこの施設は、ウールを乾かすために使用されましたが、ビアトリクスはこのような施設を保存する価値は大きいと考え、建物が老朽化した際も自費で補修に努めました。



 現在は「ユーツリー農場肉屋」としてオープンしています。



 雄鶏が「肉屋はこっち」と、案内してくれました。

▼旅はハプニングの連続



 こうして、この日の観光も無事終わり、ホテルに戻った後、夕食へと出かけました。この日の食事は、日本からツアー会社に頼んで予約した「The Village Inn」です。

 当初の旅の予定では、この日と次の日は河野先生のガイド付きで、各スポットを巡る予定でしたが、大事な約束があるということで午後からキャンセルとなりました。でもこの日の夕食は、ガイドのお礼を兼ねて先生の分も予約していたので夕食は是非一緒にとお願いしておりました。しかし、店に入って再びトラブル発生!なんと先生の食事は、追加予約したのに、店側は「聞いていない」の一点張りです。

 すぐさま現地のツアー担当者に連絡し、店側に確認してもらうも、これがすんなりOKとはならなくて、すったもんだした挙句ようやく解決しました。


 付け合わせのパンとオリーブ



 メイン料理のフィッシュ&チップス。なんとか落ち着きを取り戻し、ようやく食事がスタートしたのですが、今度は先生より、衝撃の告白が。。。

 「明日のガイドだけど急にスコットランドに行くことになったからごめんね」
 「えっえーーーー!」

 なんということでしょう!

 次の日の予定は、私も初めて行く箇所が多く、先生がいらっしゃるから大船に乗ったつもりでのんびり構えていたのですが、それ以降食事もあまり喉を通らず、特に心配だった「スケルギル農場でゲートが閉まっていたらどうすればいいのでしょうか」と質問したところ、「行けばなんとかなる」と一笑に付されました。旅はハプニングの連続ですね!

ハウズ湖とユーツリー農場へ(完)
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