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開館5周年特別企画
大東文化大学
ビアトリクス・ポター資料館



大東文化大学ビアトリクス・ポター資料館の開館5周年を記念して、特別企画&記念講演が開催されました。


特別企画&記念公演などの主な内容: 4月2日から3日にかけて

 ●5周年記念 ビアトリクス・ポター資料館無料開放日

 ●ピーターラビットと一緒に写真を撮ろう!

 ●ピーターラビットグッズが当たる抽選会
 
 ●「日本、イギリス、アメリカのウサギの絵本について
   『ピーターラビットのおはなし』を中心に」


              時間: 13時〜14時
              場所: 埼玉県こども動物自然公園内 森の教室
              講演者講師: 大東文化大学 文学部英米文学科教授 河野芳英先生


  河野先生の講演の前に、資料館館長より始めの挨拶があり、まずは東日本大震災に触れ、「今回の記念行事を開催すべきかどうか何度も関係者と話し合いを重ね、自分たちが今できることをしっかり行っていこう」という結論に達したという報告がありました。会場となった森の教室に集まった参加者は、教室に入りきれないほどで立ち見の方もいらっしゃるほど。紆余曲折の上、開館5周年記念が開催できたこと、参加者はもちろんですが、主催者の方々も感極まる思いがあったのかもしれません。

 さて、まずは講演冒頭にポータルサイト「goo」にて、東日本大震災の緊急災害募金「がんばろう日本!」で、ピーターラビットもこの募金に協力し、壁紙を購入することで募金に協力できることをアナウンス。ピーターラビットは絵本の主人公だけでなく、キャラクターグッズとしても活躍し、その昔TVで放送されたキューピーマヨネーズのピーターラビット編なども紹介され、親から子へさらに孫へとその活躍はとどまることを知りません。

 講演前半は、ビアトリクス・ポターの軌跡を追いながら「The Tale of Peter Rabbit」を出版するまでを解説いただき、元NHKアナウンサーの岡野由美子さんによる『ピーターラビットのおはなし』の朗読が披露されました。

 講演後半は、ビアトリクス・ポターが影響を受けた児童文学者ランドルフ・コールデコットについて解説があり、「A Frog he would a-wooing Go(カエルのよめとり)」を紹介。

 カエルがめかしこんで野ネズミと一緒にハツカネズミのお嬢さんのところへ。そこでご馳走になり、歌を披露して、そこへ猫の親子がやってきて、野ネズミとハツカネズミが食べられた。慌てて逃げたカエルはアヒルに食べられたとさ。

 ランドルフ・コールデコットの描いた挿絵の中に、ひげのサムエルを彷彿する野ネズミが登場します。ビアトリクス・ポターの父ルパートは、コールデコットの原画を収集するほど気に入り、ビアトリクスもまた心から彼の作品を賛美していました。

 次に紹介されたのは、ジヨエル・チャンドラー・ハリスの「Uncle Remus(リーマスじいやの物語)」、モーリス・センダックが挿絵を描いた「The Big Green Book」と「Mr.Rabbit and the Lovely Present」、さらに発行部数が少なく大変貴重な豆本「The Little Rabbits」も、うさぎつながりということで紹介。

 最後にガース・ウィリアムズにも触れ、毛のついた動物が好きで、毛の質感を描くだけにとどまらず「Little Fur Family」の初版は、表紙カバーに本物のうさぎの毛を使用するほどのこだわりで、この初版本の実物が講演終了後に披露されました。また、ガース・ウィリアムズの代表作「The Rabbit's Wedding(しろいうさぎとくろいうさぎ)」の朗読を持って講演終了となりました。

 1時間の講演はあっという間に終了し、時間が足りずに説明が飛ばされた部分も出来れば延長してお聞きしたいとこでしたが、この日はさらに特別企画の紙芝居公演が予定されていたので別会場へ移動しました。


● 「紙芝居を楽しもう!
   高橋五山の「ピーター兎」(1983年刊行)を中心に」


              時間: 14時30分〜15時15分
              場所: 埼玉県こども動物自然公園内 野外ステージ前広場
              紙芝居口演: ちっち(国際紙芝居教会認定プロ紙芝居師:ヤッサン一座)

 ビアトリクス・ポター資料館の開館5周年記念講演の後は、野外ステージに移動して次なるイベント「紙芝居を楽しもう「高橋五山の『ピーター兎』(1938年刊行)を中心に」が開催されました。

 その昔、娯楽というものがなかった時代、子供たちは自転車にのってやってくる紙芝居師の口演が楽しみで夢中になりました。紙芝居を見るために水飴を購入するのですが、水飴を購入するお金を持ち合わせない子供は、電信柱に登ってまでも見たいという、当時の子供たちを熱狂させるほど楽しい娯楽だったのです。

 

 ヤッサン一座は、自転車に乗ってやってくる昔のスタイルにのっとり活動している一座です。紙芝居師のちっちさんは、大変よく通る張りのある声の持ち主で、その声がとても居心地よく、ステージ上で響き渡っていました。

 まず最初に日本中の誰もが夢中になった紙芝居「黄金バット」を披露してくださり、そして「終わらない紙芝居 桃太郎」、途中クイズなども挟みながら、最後に「ピーター兎」を口演。子供たちがちっちさんの出すクイズに勢いよく手を挙げるのは、クイズに当たると紙芝居の下にぶら下がっている嵐やAKBなどのカードがもらえたり、小さなヒヨコと引き換えに水飴がもらえたりと。何かもらえるとなると子供たちの張り切りようといったら。。こんなに元気の良い子供たちの姿は久しぶりに見たような気がします。

 紙芝居「ピーター兎」は、1938年(昭和13年)5月に刊行された紙芝居で、『ピーターラビットのおはなし』をベースに高橋五山さんが紙芝居用にアレンジしたもの。ところどころ内容が違っているのは、アメリカで刊行された海賊版がベースになっているからと思われます。この紙芝居は、発売元の全甲社より復刻されるという話題が新聞で取り上げられました。

ヤッサン一座のちっちさんによる紙芝居:
(動画で撮影したものです。よろしかったらご覧ください。

  ・日本中でとっても有名だった紙芝居「黄金バット」 6分31秒(217MB)

  ・高橋五山の紙芝居「ピーター兎」 10分47秒(436MB)

 拍子木の音とちっちさんの軽妙な語り口に子供たちはどんどん物語の世界にひきこまれていきます。朗読と違って紙芝居師は、時々子供たちの中にまじって客いじりをしながら演技力で観客を魅了し、ひきこまれた観客たちは爽快な気分にさせてくれる。紙芝居ってこんなに楽しいものだったかと再確認できました。


 

(2011.4.4 レポート 作成: ラピータ ラピータの部屋コンテンツ)

関連サイト:
埼玉県こども動物自然公園: http://www.aya.or.jp/~sczoo/


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