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開館10周年記念企画 大東文化大学 ビアトリクス・ポター資料館



記念講演「ビアトリクス・ポタ―資料館〜ピーターラビットの絵本の世界〜10年の歩み」
講師:大東文化大学教授 河野芳英先生
開催日:2016年4月24日
開催場所:埼玉県こども動物自然公園内レクチャールームにて
2006年に開館したビアトリクス・ポター資料館が、開館10周年を迎えました。

 
以前、「ビアトリクス・ポター・ショップ」というピーターラビットグッズ専門のショップがあった建物は、「もりカフェ」と名前を改めカフェとなりました。もりカフェのオープンスペースから眺めるビアトリクス・ポター資料館。

開館10周年の記念講演「ビアトリクス・ポター資料館ピーターラビットの絵本の世界10年の歩み」が開催されました。講師は大東文化大学教授 河野芳英先生。

講演内容は、タイトルにもある通り、資料館設立の原点に立ち返り、10年間の軌跡を掲載された新聞や雑誌に掲載された記事を参考資料としながら、エピソードを盛り込み話が展開されました。

資料館の入場者数は、開館1年目で3万人の方が見学され、開館4年目の2010年12月に来館者10万人を超えたことで記念コンサートを開催されたことなど。

ビアトリクス・ポタ―資料館は、常設展示以外にも、年に2回(毎年の開館記念月とクリスマス期間)必ずファンを楽しませる企画を開催してくださることや、資料館の展示資料などをまとめた目録を制作されています。こうした企画力が、ファンの心を惹きつけ何度となく足を運ぶことにつながっていると思います。

さらに、開館後10年かけて収集されたものを紹介してくださいました。
中でも読売新聞(2014年6月7日付)の記事にもなった「ポター直筆『天竺ネズミ』」の水彩画作品は、『アプリイ・ダプリイのわらべうた』に採用されなかった挿絵で、その原画が資料館に展示されているとのことでトピックのひとつとして紹介してくださいました。

『アプリイ・ダプリイのわらべうた』のおしゃれなテンジクネズミで描いた挿絵のひとつで、資料館に展示されているのは不採用となったため刊行本では見ることができない作品。この採用されなかった作品は、書籍『ビアトリクス・ポター 描き、語り、田園をいつくしんだ人』ジュディ・テイラー著/吉田新一訳(福音館書店)P191に掲載されています。

また、オークションをきっかけで知ったビアトリクスが描いたのに間違い捨てカット、コマドリの水彩画もいづれお披露目する予定があるという情報もお話されていました。

その他には、BS朝日で2011年1月8日に放送されたSTYLEBOOK「知的好奇心を満足させる大学ミュージアム冒険パート2」で、大学ミュージアムは大学の特色に応じた独自のコレクションが楽しめると資料館が紹介されたこと、2010年4月に山手線に大東文化大学ビアトリクス・ポタ―資料館のラッピングされた電車が30分に1本の割合で行き来したことや、青桐幼稚園の送迎バスにも同様のラッピングし広報活動をおこなっていることも紹介されました。

海外に目を向けると、英国BBCニュースに資料館を「日本のヒルトップ・ハウスのレプリカ」として紹介されたり、またアメリカの旅行ガイドにも掲載されているといったお話もありました。

英国のビアトリクス・ポター協会のビアトリクス縁の地のひとつとして、大東文化大学ビアトリクス・ポタ―資料館が紹介されています。
http://beatrixpottersociety.org.uk/places-to-visit/

日本人のビアトリクス・ポター作品との歴史にも触れ、「ウサギはニンジンが好き」という常識はどこから来ているのかといった解説や、2015年10月1日読売新聞に「ピーターラビット意外な邦訳者?」と掲載された下村海南が訳した「ピータロー兎」について配布された資料をもとに紹介があり、特別ゲストの元NHKキャスター岡野由美子さんが『ピーターラビットのおはなし』と、海南が邦訳した「ピータロ兎」を朗読してくださいました。

「ピータロ兎」の出だし部分。。「昔、アルトコロニ、太郎、二郎、三郎、ピータ郎トイフ〜」

朗読していただくことで、邦訳の面白さがより一層伝わってきました。

講演会で配布された資料:
実業之日本社発行の月刊誌「幼年の共」1915(大正4)第2号に掲載された「ピータロ兎(一)」についての記事

資料館は10周年を迎え、来館者数は17万人を超えたそうです(2016年7月25日埼玉新聞より)

ビアトリクス・ポタ―の作品は、世代、性別関係なく人気のある作品で、作品だけではなくあらゆる分野で、さらに彼女自身の功績についても、河野先生曰く「日本におけるビアトリクス・ポタ―学の発信場所」として使命を感じていらっしゃるとの強い言葉で講演は締めくくられました。

  
 本場英国のヒルトップ農場にある菜園を再現して造られたもの。資料館前の菜園は、野菜やハーブを中心にできる限り現地ヒルトップ農場で育てられているものが植えられています。

  
 資料館の壁に伸びているツルは白花のフジ。本場のヒルトップ・ハウスで白花のフジが満開になる頃に訪れるのは難しいですが、資料館では蕾から花の房が下に伸びてきたら1週間もかからず満開になるそうです。毎年、ゴールデンウィークの後半あたりに満開となるフジですが、より確実にフジの花の見頃を知りたい方は資料館にお問合せしてください。きっとご丁寧に答えてくださると思います。(この写真の撮影日は記念講演の開催日である4月24日でした)

 
 記念講演の会場で毎年配布される「大東文化大学Beatrix Potter Collection文献目録2016」。


今年は色々な仕事が重なり報告が遅くなりましたことをお詫びいたします。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(2016.12.13 レポート 作成: ラピータ ラピータの部屋コンテンツ)

関連サイト:
大東文化大学ビアトリクス・ポター資料館  http://www.daito.ac.jp/potter/
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