ラピータの部屋 >ピーターラビット英国湖水地方の旅トップページ2003年目次>ダーウェント湖 絵本の舞台を追いかけてその2&リトルタウン 絵本の舞台を追いかけてその3

〜〜〜  ビアトリクス・ポターの描いた絵本の舞台を追いかけて(2003年8月) 〜〜〜

5日目(8/23)  ビアトリクス・ポターが絵本に描いた場所は、どの場所も素晴らしい景色?!

  ホークスヘッド 〜 KIRKBY LONSDALE
 〜 ダーウェント湖 〜 リトルタウン
  

旅行5日目 ちょっと遠出も ピーターラビット アンド フレンズを追いかけて

  • ダーウェント湖 絵本の舞台を追いかけて その2〜
    フォウ・パーク邸と、リングホーム邸とは?


▼ダーウェント湖 Derwentwater

 カークヴィー・ロンズデールより、再びケズウィック方面へ車を走らせ、ダーウェント湖を挟んでケズウィックとは反対側となるダーウェント湖の西側に到着。

  
 (写真左) ダーウェント湖の西側より、ダーウェント湖を望む
 (写真右) ダーウェント湖を周回しているケズウィック・ランチ(写真正面奥の汽船)。手前は、「ニコル・エンド(Nichol End)」というケズウィック・ランチの船着場で、ヨットハーバー。

 前回2001年の英国の旅は、一日ミニバスツアー内でダーウェント湖を訪れ、ケズウィック・ランチ(汽船)でダーウェント湖周遊を果たせたものの、湖の西側にも立ち寄りるのはかなわぬ夢だった。そこで、今回の旅でどうしても実現させたかった。

 ダーウェント湖の西側にはどんな舞台があるかというと。。。

▼フォウ・パーク邸とリングホーム邸

 湖の西側に面したここには、フォウ・パーク(Fawe Park)邸と、リングホーム(Lingholm)邸という、それぞれが広大な敷地を持つ屋敷があり、フォウ・パーク邸は、『ベンジャミン バニーのおはなし』の舞台となったところ、リング・ホーム邸は、『りすのナトキンのおはなし』の舞台になったところ。現在はどちらの屋敷も立入禁止で、絵本の舞台を確かめることは不可能だが、少しでもその舞台に近づきたくて。

  
 (写真左) ニコル・エンドにあるマリーナ
 (写真右) マリーナの建物の脇にフットパスがあり、フォウ・パーク邸、リングホーム邸へと通じている。この標識は、フットパスの途中にあるニコル・エンドに戻る方角を示したもの。

  
 (写真左) ニコル・エンドからフットパスを歩いてすぐにフォウ・パーク邸へ通じるゲートが見えてくる。
 (写真左) 「フォウ・パーク(Fawe Park)」の表札をアップ

 フォウ・パーク邸は、このゲートより入って、(あくまで想像ですが)少し小高い丘の上に屋敷があるのか、ゲートからは何も確認することができず。こんなところでウロウロしていたら怪しまれるのですぐに退散。

  
 (写真左) 道路側に面した側より見つけたリングホーム(Lingholm)邸を示す看板。
 (写真右) プライベート道路と示された小さな看板が左手にあったため、この道はこれ以上進めずじまい。

  
 (写真左) どんなに私有地で囲まれた場所でも、必ず通り抜ける道がある、それがフットパス。リングホーム邸の近くをウロウロしていると、再びフットパスの標識を発見し、ニコル・エンドへと通じるフットパスにつながっていた。

 (写真右) フットパスの標識から少し進んだところ。フォウ・パーク邸からリングホーム邸に抜けるフットパスは、『りすのナトキンのおはなし』に描かれたような林のなかを抜ける道になっていた。

  
 (写真左)フットパスの林を抜けると、湖水地方独特のスレートの石垣が目の前にあらわれた。これは、リングホーム邸の石垣。ポターが『ベンジャミン バニーのおはなし』で描いた石垣は、フォウ・パーク邸の石垣で、この石垣ではないと分かっていても、ベンジャミン・バニー氏が歩いた石垣によく似ている?!

 (写真右)リングホーム邸の石垣の合間からダーウェント湖を望む。

 
 『ベンジャミン バニーのおはなし』より ビアトリクス・ポター(著) いしいももこ(訳) 福音館書店(刊)
 ベンジャミン・バニー氏が石垣の上より登場するシーン。

 ●Visit Cumbriaサイト内の「Beatrix's Potter Derwentwater」の紹介ページのなかで、

 Although Fawe Park and Lingholm are not open to the public, they may be glimpsed from the footpath between Nichol End and Hawes End (both of which are launch stops on the Keswick Launch).
 (サイトより一部引用)

 フォウ・パーク邸とリングホーム邸のどちらも公開されていませんが、ニコル・エンドとハウズ・エンドの間のフットパスよりちらっと見えるかもしれません。(ニコル・エンド、ハウズ・エンドのどちらもケズウィック・ランチ(汽船)で行くことができます)

 「Visit Cumbria」の紹介文に書かれていたとおり、リングホーム邸の石垣の合間からちらっと見えたダーウェント湖と庭の一部、それから建物もほんの一部分だけ。

  
 (写真左) リングホーム邸の屋敷の一部。フットパスの合間より見えた景色。
 (写真右) ビアトリクス・ポターが1898年に描いた「Rain」と題された雨にけむるリングホーム邸を描いた水彩画の作品。

 ニコル・エンドとハウズ・エンドの間のフットパスに広がる林のなかは、赤リスや森に住む動物たちの住みかとなっていて、大きくて立派な木が枝葉を押し広げていた。もしかしたら赤リスの姿が見られるかもと、上ばかり見て歩いていましたが、とうとう出会えずじまい。

 さらにダーウェント湖の西側をハウズ・エンドの方角に南下し、リングホーム邸のエントランスが見えてきたら、今度はキャット・ベルズ山(Cat Bells 標高451m)へと続くフットパスの入口へと続いていく。

  
 (写真左) キャット・ベルズ山へと続くフットパスの入口
 (写真右) フットパスの柵の隣に、枝葉を押し広げた大木が。赤リスはいないかしらと目を凝らす。

 「絵本の舞台」とタイトルに書きながらも、未公開のためすぐ近くまでたどりついてもその景色は望めなかった。しかし、林のなかのフットパスを歩きながら、そして雰囲気がそっくりな石垣のすぐ脇を通りながら、気分だけは絵本の舞台に入り込んだかのよう。

▼マップでおさらいするダーウェント湖西側の位置関係

 
 (地図) ダーウェント湖周辺の位置関係がとっても分かりやすい地図(地図上が北)
      「Beatrix Potter's Derwentwater」 Wynee Bartlett and Joyce Irene Whalley(著)1988年(刊)より

 ダーウェント湖の北より、ニコル・エンド(Nichol End)とあり、そのすぐ下にフォウ・パーク邸(Fawe Park)、さらにその下にリングホーム邸(Lingholm)、さらに下がってダーウェント湾(Derwent Bay)から見たセント・ハーバート島(St. Herbert's Island)が、『りすのナトキンのおはなし』に登場するふくろう島。

 ダーウェント湾は、リングホーム邸の私有地につき立ち入り禁止のため、ハウズ・エンド(Hawse End)からハーバート島を望むと、絵本に近い景色が望めるはず。

 さらに、ハウズ・エンドから湖を背にしてフットパスをさらに進むと、キャット・ベルズ山(Mt. Cat Bells)に登る手前に『ティギーおばさんのおはなし』に登場したスキルギル農場(Skelgill Farm)があり、リトルタウン(Little Town)へと続く。

 ダーウェント西側には、3つの絵本の舞台があるというのに、屋敷が一般公開されていないためなのか、ツアーには組み込まれず、ケズウィック側より、「あちらに見えるのが『ティギーおばさんのおはなし』の舞台、キャット・ベルズ山だよ」という説明があるのみだった(2001年の一日ミニバスツアーにて)。

▼行き方

  
 (写真左) ケズウィック・ランチのパンフレット。
 (写真右) ケズウィック・ランチは、そのまま乗船していれば湖周遊コースとなり、番号のついた船着き場で下船することもできる。ニコル・エンドは7番、ハウズ・エンドは6番。

 湖の西側へは、何度も登場したケズウィック・ランチ(汽船)ケズウィックの船着き場(1番)から、ハウズ・エンドもしくはニコル・エンドで下車。フットパスへ。

 
 (写真) バス停

 もしくは、ケズウィックバスステーションから、行きは77A番、帰りは77番のケズウィック〜バターミア行きバスに乗車し、キャット・ベルズにて下車(約14分)でも行くことができる。バスは午前と午後で約2時間に1本。

 さらにリトルタウンへに行くには、交通手段は車しかなく(キャット・ベルズ山のフットパスを徒歩で目指す方法も)、そうまでして訪れたいリトルタウンにはどんな舞台が待っているかというと。。。

ダーウェント湖 絵本の舞台を追いかけて その2〜 (完)
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旅行5日目 ちょっと遠出も ピーターラビット アンド フレンズを追いかけて

  • リトル・タウン 絵本の舞台を追いかけて その3〜
    日本人でこの看板を紹介するのは私が最初?

▼リトル・タウン Little Town

 「いなかの ある農家にルーシーというおんなの子がいました。」
  『ティギーおばさんのおはなし』より ビアトリクス・ポター(著) いしいももこ(訳) 福音館書店(刊)

 日本語訳では、このように翻訳されている部分、原文は以下の通り。

 「Once upon a time there was a little girl called Lucie, who lived at a farm called Little-town.」
  「The Tale of Mrs. Tiggy-winkle」より Beatrix Potter(著) Frederick Warne(刊)

 日本語訳で「ある農家」となっている部分は、原文で「リトルタウン(Little-town)と呼ばれる農場」と書かれている。つまり、日本語訳はリトルタウンという町の名前が省略され、より読者に分かりやすい表現を選択されたということだろう。

 リトルタウンは、ダーウェント湖の西側、キャット・ベルズ山を含むニューランズ渓谷(Newlands Valley)にある小さな町。全部で10軒もあるかないかの集落で、町の端から端まで徒歩で10分も歩けば集落から抜け出るほどの距離しかない。原文に記載があった通り、ここリトルタウンが『ティギーおばさんのおはなし』の舞台のひとつ。

  
 (写真左) ニューランズ渓谷の中腹に白い建物がポツリと見える場所がリトルタウン。
 (写真左) リトルタウンから見るダーウェント高原(Derwent Fells)の景色。なだらかな丘が連なる美しい牧草地帯のなかを生け垣(Hedge)が緑の線を描き、その先にそびえる尖った山は、コーズィー山(Causey Peak 標高637m)。

 
 (写真) 山の斜面は一面ヒースでおおわれ、山肌が紫色に染まる。リトルタウンから眺める見事なまでの色のコントラストに、一同しばらくの間言葉を失う。

   
 (写真) リトルタウン・ファーム(Littletown Farm)の看板。看板に描かれているのは、もちろんティギーおばさん、そしてルーシー。

 B&B
 Littletown Farm  http://www.littletownfarm.co.uk/ (別サイト)

 リトルタウンに到着したら真っ先に飛び込んでくるのがこの看板。このような小さな村でも『ティギーおばさんのおはなし』の舞台として、盛りたててくれていることに感動。「ここまでやってきてよかった。もしかしたらこの看板を旅行記にアップするのは日本人初かも」と感激しながら撮影する。

  
 (写真左) リトルタウンからキャット・ベルズ山へと向かうフットパスのゲート。
 (写真右) リトルタウンのすぐ後ろにそびえる山は、ハイ岳(High Crags 標高412m)で、この山に沿ってしばらくフットパスを歩くとニューランズ渓谷(Newlands Valley)の景色が広がるはずだった。

 が、しかし、旅行5日目、この日もかなりのハードスケジュール。口に出さずとも疲労が蓄積し、「この先フットパスを進めば、ニューランズ渓谷の絵本と同じ景色が見られるかもしれない」とはとても言いだせず、ホテルへと戻ることになった。

▼ニューランズ渓谷 Newlands Valley

 リトルタウンよりフットパスを10分、いや20分、それともそれ以上かかるかもしれないが、ルーシーのようにフットパスを歩いて行けば、このような絵本の舞台に出会えたはず。

           
 『ティギーおばさんのおはなし』の挿絵のためにビアトリクス・ポターが描いたもので、自筆で地名が記入されているもの。一番下「Newlands Valley(ニューランズ渓谷)」 右側「Little Town(リトルタウン)」 一番上「From away Dale Head(遠く離れた場所にデール山)」というメモ書きが記されている。
 千趣会発行『ティギーおばさんのおはなし』リーダーズガイドより

  
  Flickr@Parslee撮影によるニューランズ渓谷。 
  谷の部分にニューランズ川(Newlands Beck)が流れていて、右奥の頂がデール山(Dear Head 標高753m)

 フォウ・パーク邸とリングホーム邸を探しまわるのにフットパスをウロウロし、さらに移動してのリトルタウン。途中でトイレ休憩できる場所があればもう少し頑張れたかもしれない。しかしフットパスを歩いている途中にはもちろん、観光案内所のない町は公共トイレ、バーやカフェも無し。美しい景色を目の前にしながらも、トイレ問題は旅につきものだ。

▼ニューランズ教会 Newland Church

 『ティギーおばさんのおはなし』に登場するルーシーは、ニューランズ教区の牧師の娘ルーシー・カー(Lucie Carr)がモデルになっている。ルーシーは、リトルタウンから南に少し行った先にあるニューランズ教会に住んでいた。

 
 Flickr@The Constant Walker's撮影による「ニューランズ教会」

 ビアトリクス・ポターがルーシーに出会ったのは、ルーシーが1歳の頃。この教会で出会ったとのこと。ここも残念ながら見逃した場所のひとつ。でも、『ティギーおばさんのおはなし』では、ルーシーはある農家に住んでいたことに。その舞台は。。。

▼スケルギル農場 Skelgill Farm

   キャット・ベルズ山のフットパスの入口からさらに南へと歩いていくと、『ティギーおばさんのおはなし』に描かれたスキルギル農場がある。これは一般の人も見ることができるのにもかかわらず、この旅の時点ではその事実には気付いていなかったため、すぐ近くにいながら通り過ぎてしまった。もし知っていれば、このような写真が撮影できたでしょうに。

  
 (写真左) スケルギル農場(Skelgill Farm)。『ティギーおばさんのおはなし』で、ルーシーの家として描かれた場所で、左側の建物、ゲートの位置、手前の納屋といい、絵本に描かれたそのままの景観が保たれている。

 (右の挿絵)『ティギーおばさんのおはなし』より
        ビアトリクス・ポター(著) いしいももこ(訳) 福音館書店(刊)

 この写真は、スケルギル農場に行かれた方に見せていただいた写真。この舞台を探して、リトルタウンをウロウロと探し回ったのに、リトルタウンはキャット・ベルズ山の中腹あたりとすれば、こちらの農場はキャット・ベルズ山の麓辺りに位置するため、探し回っても見つからないはず。

 ダーウェント西側の絵本の舞台、私の前調べが足りずに絵本の舞台が満喫できなかったのにもかかわらず、リトルタウンから眺めたダーウェント高原の素晴らしい景色に大満足な旅行5日目となった。

 そして、リトルタウンで見つけたB&B、ここはいつかきっと宿泊してみたい場所となった。朝、目覚めたらあの景色を独り占めできるなんて、想像しただけでうれしさがこみ上げてくる。 ビアトリクス・ポターが絵本に描いた場所は、どの場所も素晴らしい景色。ここに来ることができて本当によかった。

▼思わず目が点 「ぎょっ」となったDinner

 夕食は、ホテルに近いレストランにて。メニューを見てもさっぱり分からないため、ベジタリアンメニューの中から「マッシュルームストロガノフ」をチョイス。そして、運ばれてきた料理を見て、思わず目が点、「ぎょっ」となるほどマッシュルームがとてんこ盛り。

 
 ベジタリアンメニュー「マッシュルーム ストロガノフ」

 これならきっと食べれると思ってチョイスしたメニューが、見た目でギブアップ!パサパサしたご飯とほんのひと口ストロガノフをいただきごちそうさま。英国の料理は一か八かの勝負に出るようなもの。お昼がおいしかったので、勝負は引き分けって。

 旅行6日目は、ニアソーリーで2泊、ケズウィックで2泊の湖水地方の旅もあっという間に別れを告げることになった。いよいよ日本人の大好きな陶器の町ストーク・オン・トレントに向けて出発。

リトルタウン 絵本の舞台を追いかけて その3〜 (完)
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ラピータの部屋コンテンツ 英国旅行記2003年版 2010.3. 2 ラピータ著