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聖徳大学児童学部・音楽学部開設記念
特別展覧会「ピーターラビットの世界」展

開催日時:2008年11月6日〜平成20年5月31日まで

 ずっと気になっていた聖徳大学で開催されている「ピーターラビットの世界」展に参加してきました。聖徳大学の場所はJR松戸駅より徒歩5分。念のためイベント主催の聖徳大学川並記念図書館の担当の方にお電話すると、「イトーヨーカドー方面に歩き、イトーヨーカドーがオープンしている時間帯ならエスカレーター等を利用して5Fまで、そして5Fに設けられている聖徳大学方面出口を出てすぐです」との事だったのですが、まさかビル5Fの出口とは、私の聞き間違いであろうと思っていたら、ちゃんとおっしゃる通りその場所にありました。

 駅のすぐ近くにあるというのに、ビル5F分の高台にあるためなのか、大学の正門を抜けるとそこはつい先ほどまでの騒然とした雰囲気とは違い、もちろん学校という一種のピーンと張り詰めた空気がただようなか、粛然としたなんと良い環境のなかにあるのだろうというのが第一印象でした。

     
 写真は、大学の正門を抜けたすぐ大きな広場の先にある校舎。上空はなんともすがすがしい雲がふわりと浮かび、町の中にある大学とはとても思えない静かな雰囲気。

 正門を抜けて左手にある建物の半地下部分に「ピーターラビット世界」展を開催しているギャラリーがありました。
  
 写真左は、ギャラリーのある建物入り口。入り口右手に、「ピーターラビット世界」展の案内表示がありました。

 写真右は、建物入り口より入ったすぐ正面にある70周年記念プレート。ビアトリクス・ポターの作品の見返しにもある掲示板をイメージした部分に「70th Anniversary」とあり、そして『不思議の国のアリス』の主人公アリスと、チェシャ猫が、そしてピーターとベンジャミン、こまどりもいます。背景にはジギタリスの花々も。まっさきに目に飛び込んできたこの素敵な記念プレートにしばし見とれてしまいました。

 

 写真は、ギャラリーの入り口です。
(これより先は撮影禁止だったため、肝心のギャラリーの様子を撮影した写真はありません。ご了承ください。)

 この催しは、聖徳大学に平成20年春よりあらたに開設された児童学部・音楽学部を記念して、大学が所蔵している貴重なビアトリクス・ポターに関する資料を展示、広く一般にも公開されたというものです。

 これら貴重な資料は、学校創設者である川並香順先生の意向で、「何事にも本物に接する」というポリシーのもと、子どもたちに大変人気のあるビアトリクス・ポターの作品の初版などの学術資料が集められ、これらを随時公開し、教育に役立ててこられたというこれまでの経緯があるそうです。

 そんなギャラリーの展示スペースは、20人も入ればいっぱいになるほどでしたが、ちょうど訪れたのが3月中旬、折りしも卒業式がおこなわれていたというのもあってか、静かにゆっくりと鑑賞させていただくことができました。

 まずは、これら公開するに当たっての先ほどのこれまでの経緯を含めた挨拶のボードに始まり、ビアトリクス・ポターの作品の初版本が展示されていました。これら初版本がただ展示されているのではなく、初版本の前には、これら物語の主役たちのフィギュア(ロイヤルドルトンの陶器製フィギュア)が一緒に並べて展示され、まるでそこから飛び出したかのように、私たちの目の中に飛び込んできました。

 これら、ビアトリクス・ポターの23作品すべての初版本に、それぞれの主役たちがずらりと端から端まで展示されているのです。なるほど、子どもたちに大人気と書かれてあったとおり、子どもが見ても楽しめそうです。

 なかには、ロイヤルドルトン社が製作していない『2ひきのわるいねずみのおはなし』に登場するルシンダとジェインについては、ボーダーファイン・アート社が製作したフィギュアを展示されていて、もうその勢ぞろいした圧巻さたるや、興奮と喜びが同時に湧き上がると表現すればいいのでしょうか。見終えた後は思わず「ごちそうさま」と言いたくなるぐらいの素晴らしさでした。

 もう想像つきますよね。ギャラリー入り口から、それら23作品の展示を見終えるまでの間、どれほどの亀のような歩みだったかを。だって次になかなか進めないぐらいの見ごたえでしたから。

 RJWのぬいぐるみ展示のところにいたっては、もう私たちにとって見慣れてしまった部分なので、そこは早かったこと。でもそこに、「世界で最初に翻訳された『ピーターラビットのおはなし』」というニュースとともに、それらが掲載された新聞記事のコピーが貼られていました。このような素晴らしい展示スペースに付け加えていただきうれしかったです。

 またビアトリクス・ポター本人の直筆の手紙も展示されていました。
 ・1940/4/22 ハンバー氏宛 木の伐採に関する内容の手紙
 ・日付不明 Miss Hammonth宛 夫ヒーリスの病状を心配する内容の手紙

 直筆の作品として、1936年、1938年に描いたクリスマスカードのデザイン画も。

 手紙、クリスマスカードの展示された横には、そう手紙といえば切手ですよね。日本で発売になった切手などもありました。この他にも、ハルシオンのエナメルボック、グリムウェイド社製のケーキ皿、ミルク入れ、ティーポット、ティーカップなども展示されていました。

 ビアトリクス・ポターは、自らの作品の商品ライセンスについて、出版社に舞い込むさまざまな依頼について事細かにチェックしていたことが、本人が書いた手紙の文章より伝わってきます。

 たとえば、フィギュアについて。

 1908年2月27日、出版社であるフレデリィック・ウォーン社のハロルド・ウォーン氏宛の手紙のなかで、

 「〜You will find Peter's figure is more than 1/3 height of his book.
  These are under 1/6, & they are complicated by accessories in background.〜」*

 ピーターたちのフィギュアは本の高さの3分の1を上回っていること、そしてこれらはみな6分の1以下の高さであり、本の背景の飾りとしては認められないことなどが書かれていました。

 そして、ロイヤルドルトン社のフィギュアは、高さ約8cm〜12cm、中にはもっと低いものや、15cmぐらいのものもありますが、本の高さが約14.5cm、3分の1以上となると少なくとも5cm以上の高さが欲しいと感じていたことになります。どうりで、こうやって本と一緒に並べて見るという方法が、ビアトリクス・ポターが望んでいたとおりで、私たちに伝わってくる感動が大きいのかもしれません。

 この聖徳大学川並記念ギャラリーの「ピーターラビット世界」展では、このようなビアトリクス・ポターの遺された言葉を大切に、だからこそこのような展示方法になったのかもしれません。と、勝手な想像がふくらみました。そして私は、ますますビアトリクス・ポター・ワールドの奥深さと、そして底知れぬ魅力にはまってしまうのでした。

 このページの一番上に紹介した画像は、この催しのために製作されたパンフレットの表紙です。ここには、展示されていた初版本コレクション(1902年〜1930年)、貴重なグッズの数々、ビアトリクス・ポターについてが紹介されたパンフレットです。最初にご紹介した、ギャラリーのある建物入り口を入ったすぐ脇にあるさまざまなお知らせの冊子などがあるコーナーにありました。

 これら展示スペースは、休刊日(毎週日曜日、祝日、学事日程による休業日)以外は、午前9時から午後5時までオープンしています。今回はギャラリー内の様子をご紹介できませんでしたが、ぜひご自分の目で実物をごらんくださいね。きっと感動が100倍(ちょっとオーバー)なこと間違いありません。

*「Beatrix Potter Letter's A Selection by Judy Taylor」 Frederick Warne(刊)より

(2008.4.21 レポート 作成: ラピータ ラピータの部屋コンテンツ)

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