TOPページピーターラビットINDEX大東文化大学 ビアトリクス・ポター資料館>オープン1周年クリスマス特別企画展

大東文化大学 ビアトリクス・ポター資料館
「2007 ピーターラビットクリスマス」

埼玉県こども動物自然公園内 11月20日〜12月25日

 埼玉県東松山市にあるこども動物自然公園は、山間地の少ない埼玉県のなかにありながら、こんもりとした丘が連なる比企丘陵として武蔵野の面影と数々の自然が残された場所にあります。毎年11月には日本最大のウォーキングの祭典として、世界各国から8万人を超える参加者が東松山の丘陵を目指しウォーキングする大会が開催されるとか。

 そう、ここは日本のビアトリクス・ポターの故郷にふさわしい丘と、自然の景観そのままに残され、東京の都心からわずか電車で1時間という距離にあるというのに、季節の移り変わりを山間の合間を吹き抜ける風がダイレクトに頬に伝えてくれる場所でもあります。

 埼玉県、そして東松山市が誇るコアラが数メートルの距離で見られる自然豊かな動物公園の敷地内に、2006年4月大東文化大学ビアトリクス・ポター資料館がオープンしました。この資料館は、100年以上前より世界中の人に愛された児童文学作品『ピーターラビットのおはなし』の作者ビアトリクス・ポターの偉大なる功績を、一人でも多くの人に伝えたいという思いから資料集め、研究、そして資料館建設にいたるまでの様々なプロセスを経た後に完成しました。最大のなんといってもその建物は、ビアトリクス・ポターが愛した英国湖水地方ニアソーリーにあるヒルトップの屋敷を模して作られたもので、何もかもがこだわり深い、そしてファンや文学好きな若者たちには魅力的な資料館なのです。

 また、こども動物公園内にあることから、入場者は子供たちも多く、次の世代を担う子供たちにビアトリクス・ポターの物語に関心を示してもらうため、2Fの展示室には物語を再現したアニメーションも上映され、子供たちの多くが画面に釘付けになるという姿も見られます。また隣の閲覧室で実際に絵本を手にして時間を忘れて夢中に読みふける姿も。

 さらには作者ビアトリクス・ポターの物語誕生秘話や、その功績を伝える講演なども開かれたり、季節ごとのイベントを開催することで、より多くの人々にビアトリクス・ポター資料館の存在をアピールするということもなされています。

 今回は、今年で2回目となる2007ビアトリクス・ポター資料館クリスマスイベントに参加してきました。このイベントのために作成されたチラシは、ダークレッドの背景色に「Two rabbits carrying a Christmas pudding.(2匹のうさぎはクリスマスプディングを運んでいる)」のイラストがあり、その周りにバラのイラストがちりばめられています。

 このバラのイラストは、当初スイセンだったそうですが、冬に春の花をあしらうという観点からバラに変更されたんだそう。これが最初からこのイメージでとビアトリクス・ポターが描いたかのごとくぴったりとはまり、ピーターラビットとクリスマスのイベントをお祝いするかのようです。
   
  
 水彩画 「A Happy New Year to you.」
 こちらの作品は、ビアトリクス・ポターが、1890年におそらくヒルデスハイマー&フォークナー社のために描いたとされるクリスマスカードたちの絵柄。11x8cm(ヴィクトリア・アルバート美術館所蔵)

と、前置きはこのぐらいにして。。。

  
 こども動物自然公園に入場してすぐにピーターラビット(写真左)がゲストをお出迎えしてくれます。土曜日、日曜日、祝日限定だそうですが、ちょうど日曜日だったため大歓迎してくれました。そして資料館前の庭には、紫色のサルビア・レウカンサスが鮮やかに枝花をおろし、寒さを吹き飛ばしてくれます。手前の白く見事な枝は、タチアオイ。
 さぁ、さぁ、早く資料館の中へ入場しましょう。

と、その前に。。。
 ビアトリクス・ポター資料館の正面、そしてギフトショップ裏にオープンした新しい憩いの場所「ピーターラビットの森」へ

  
 ここで写真撮影すると、いかがでしょう?!素晴らしい撮影ポイントですね。思わず記念撮影しちゃいました。
 そしてベンジャミン・バニーのフィギュアも。

  
 そしてこの「ピーターラビットの森」には、物語に登場する動物たちが見られます。
 (写真左)モリフクロウ(Tawny Owl) ブラウン爺さんのモデルになったモリフクロウ。夜行性ですが、目をぱっちり開けていることが多かったです。
 (写真右)ヨツユビハリネズミ(African Pigmy Hedgehog)ティギーおばさんのモデルになったハツカネズミ。この日は風が強くて、とても寒い一日だったためお休みでした。
 
さて、それではいよいよ資料館へ。

  
 資料館エントランスに展示されているのは、人形作家R.ジョン・ライトのビアトリクス・ポターコレクションシリーズが、イベント期間限定で展示されています。物語の背景と、物語から飛び出てきたかのような表情がありとてもリアルなドールです。

  
 資料館のクリスマスディスプレイは、ポターの描いた花々を紹介するのにちなみ、ツリーの飾りつけも昨年にはなかったポインセチアをあしらった飾りがつけられ、イベントをひきたてます。これら花々を描いた作品の展示は、クリスマスまでの期間限定だそうです。「ポターと花について」の説明ボードによると、「ポターは幼い頃からすぐれた観察力をもち、身近に見られる花はもとより、異国の植物など数多くの絵を描きました」とあります。また物語の背景として描いた植物などもあり、それらの作品が複製ではありますが展示され、見られるのは大変貴重なひとときになることでしょう。

  
 2Fの閲覧室に飾られたクリスマスツリーは、バラをモチーフとした飾り付けがなされていました(写真左)また、1Fジオラマ展示スペースの脇に展示されていたのは、『ベンジャミン・バニーのおはなし』に登場するバスケット(写真右)。こちらは、2007年3月に来日されたカトクリフご夫妻が、カンブリアの職人に挿絵そのままにと依頼され、製作され、日本のヒルトップにと寄付されたものだそうです。

 絵本に登場するアイテムを実際に目の当たりにすると、物語の臨場感を身近に感じることができます。このバスケットの大きさは見た目以上に大きく感じられましたが、でもよく考えてみるとこの中にピーターとベンジャミンがタマネギの強烈な匂いに耐えながら5時間も隠れるとしたら、きっと身動きひとつできなかったのではないだろうかと、思わずその光景が目に浮かぶ、そんな絵本アイテムのひとつでとても興奮しました。

  
 午後2時から、森の教室でクリスマスイベントとして演奏会が開催されました。
 植木ゆりさん&かなで隊のみなさんによるエレクトーン演奏会と合唱です。

 開演と同時に、幼稚園児から中学生までの総勢19名によるかなで隊が入場し、「ララ・ミュージック」をリズムに乗って大きな声で元気よく合唱が始まりました。かなで隊の先生である植木ゆりさんいわく「風邪も吹き飛ばしそうな歌声でしたね」と挨拶がありました。

 その後、この日のためにがんばって練習した小学生2年生、4年生、そして中学生のそれぞれ自ら作曲したメドレーを披露。演奏に使用した楽器は、YAMAHAエレクトーン「STAGEA」です。大変リアルティのある音を奏でることができるのが特徴で、たった一人で演奏しても何十人のオーケストラ楽団と一緒に演奏しているというような音、また違う楽器の音を奏でるのもお手の物です

 演奏会は第2部となり、大東文化大学文学部・英米文学科の河野芳英教授によるビアトリクス・ポター誕生秘話の講演となり、その後かなで隊メンバーのY君による朗読が始まりました(写真右)。ビアトリクス・ポターからノエル少年に送られた絵手紙を、植木先生による大貫妙子さんの「ピーターラビットとわたし」の曲目にのせ朗読が始まりました。

 絵手紙を朗読するY君は、ノエル少年になったかのごとく、物語の主役ピーターラビットの気持ちを表現してくれました。この光景は、その当時5歳だったノエル少年が大好きなポターの手紙をハラハラ、ドキドキしながら読んでいるその姿そのものではなかったでしょうか。

 最後にかなで隊のおそろいのクリスマスカラーの衣装、そして楽譜ケースは、すべてお母様がたの手作りによるもので、手作りの演奏会は全員で「ピーターラビットとわたし」を合唱して幕を閉じました。
 
 ビアトリクス・ポターの物語は、大人が読んでも魅力的で、その挿絵に惹かれますが、子供たちが読み喜んでもらうことこそが、作者の望んでいたことというのに、イベントを通じて改めて思いました。病気で寝ている子どもを喜ばせたい一心で書いた絵手紙こそがその原点なのですから。今回イベントに参加した子供たちはもとより、多くの子供たちにビアトリクス・ポターの物語に、そして資料館で作者についてもふれていただければいいなとも。

     
*館内は撮影禁止ですが、特別に許可をいただき撮影させていただきました。どうぞご理解ください。

(2007.12.20 レポート 作成: ラピータ ラピータの部屋コンテンツ)

Copyright(c)1996 ラピータの部屋 all rights reserved.

「ビアトリクス・ポター資料館2007ピーターラビットクリスマス」をシェア: Tweet
TOP